柏木工株式会社ホームページ
http://www.kashiwa.gr.jp/
9月上旬、秋の気配を感じる青空の下、緑の山々に囲まれた日本列島中央にある飛騨・高山へ行ってまいりました。
飛騨といえば、匠の技と天然木の家具・・・温かくぬくもりのある木製家具や建具を扱う会社が高山駅を中心に多く存在しています。
今回は、飛騨・世界生活文化センターに於いて開催された『2012飛騨・高山 暮らしと家具の祭典』にあわせて、柏木工株式会社を訪問してまいりましたのでご紹介します。
Vol.1 柏木工株式会社 訪問
高山駅に到着後、早速荷物を置いて、柏木工株式会社に訪問です。
駅からタクシーで西方向へ走るとすぐに柏木工㈱のギャラリーがありました。・・・・が、タクシーはそのまま通過して山の方へ。
と、いうのも、まずは柏木工㈱の木材天然乾燥場(通称:土場)へ案内されたからです。
広い敷地に、細長い木材が、井桁状に積まれた山がたくさん!近くに寄るとなんといい香りがするのでしょう。
ここは家具製品の材料を、樹種・厚さ別に、屋外で自然乾燥している場所なのです。見た目は、なんだか年季の入った古い素材ばかりで、表面も黒く・・・まるで薪のようです。えっ?これで家具を作るの?とちょっと不安になります。
でも、表面をカンナで削らせてもらうと、中は白く綺麗な木目が。・・・これがぬくもりのある無垢家具の原形となるのです。
天然木を扱うには、技術や管理に多くの経費やコストがかかります。このように自然乾燥させる土場を所有するのは、日本ではここ高山と、北海道の数社でしかない状況だそうです。自然の中で人の手をかけてものづくりをしていく。日本人として是非大切にしていきたい部分ですよね。今後も是非続くけていただきたいと思いました。
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きれいに積まれた木材
これ、手作業で積み上げるんです! |
表面を削ると綺麗な木目が・・・ |
これが無垢家具の原形です |
そして樹木の輪切りを見せていただきながら、板状の無垢材料となる木の取り方を教えてくださいました。
板を切る向きによって、板目、柾目、と模様のみえ方が異なってきます。
テーブルの一枚天板は、樹木の直径が最大寸法となります。この写真にある輪切りは直径40cmくらいですが、これで樹齢約90年ものです。
ですから大きな一枚天板が高価な品物になるのも当然ですよね。
そこで、一般的商品の場合は、木をいくつか並べてつなげて天板をつくっていくのです。
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これで樹齢90年です |
樹種や板厚、日付など記載されています |
ここにはオークやウォールナットが北海道
・カナダ・アメリカなどから集められています |
さて、材料を見たあとは、ギャラリーが併設された柏木工㈱の工場で、家具を作る工程を案内していただきました。
柏木工㈱は、創業約70年以上となる大変歴史がある会社です。工場も趣のある建物でした。
工場に入って最初に案内されたのは、またまた木材を乾燥するところ。こちらは人工乾燥です。
家具をつくるためには、素材をしっかりと乾燥させないと良い品質が出ません。一番大切な工程に手間と時間をかけて丁寧に家具づくりが行われていることを実感しました。
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土場で天然乾燥させ、工場に移されます |
この中で人工的に乾燥させます |
ギャラリーの入り口です |
柏木工㈱工場は、つくる工程や種類によって建物が分かれています。そして工程ごとに作業がしっかり管理できるしくみを採用しており、誰がどこで何の作業をしているのかが一目瞭然です。
箱物つまりチェストやタンス、イスやテーブルといった家具の種類で分かれ、さらにそれぞれが組立、曲げ、塗装やクッションをつくるなど細かく作業が分割されています。その工程を流れていくことによってひとつの商品が完成します。それぞれのエリアの職人さんが担当。ひとつひとつ丁寧に手作りしているのです。
温度調整しながら木を曲げる、板をつなげる、形状にカットする、組み立てる、木材を研磨する、塗装する・・・・それぞれが家具づくりのエキスパートです。
みなさん、見学する私たちにも元気よく挨拶をしてくださり、なんだかとってもほのぼのとした雰囲気です。
作業中の工場内にはたくさん品物がありますが、室内はしっかり整頓されているので、作業がしっかり見ることができます。いいものをつくるには作業環境も大切だということですね。整理整頓、重要です!
また効率の良い材料の置き方や、作業空間、作業するためのモチベーションを上げる工夫などいろいろ参考になりました。
最後のエリアには、ここからお客様のもとへ運ばれる搬出前の家具が並んでいます。
でもこのエリアも物が沢山並んでいるわけでなく、なぜかすっきりしています。
実はこれが、柏木工の『トヨタ生産方式』の姿です。『一個流し・受注生産』という生産方式です。
大量に在庫をかかえるのではなく、その都度、お客様のご要望に応じて、樹種やカラー、張り地の種類等をオーダーしてつくってもらえるのが柏木工㈱の家具の嬉しい部分ですが、そんな受注生産にもかかわらず短い納期でも対応していただけるのは、こうした生産体制があるからなんですね。
そして、ひとつの商品にたくさんの職人さんの技と手の温もりが込められているのをしっかりと見学させていただきました。
次回は、柏木工の製品と、暮らしと家具の祭典をご紹介します。
Vol.2 新作・暮らしと家具の祭典
さて、前回のレポートでは家具工場にて飛騨の家具がどのように作られているかをご紹介しましたが、今回はその家具の魅力について
ご紹介します。
まずは、柏木工のショールーム『暮らしのギャラリー』をご紹介します。
このショールームでは、テーマごとにブースが分かれており、生活シーンをイメージしながら家具を選ぶことができます。
それぞれのブースのスペースも贅沢にとられているのでゆったりとした気分で見学できます。
ナイスの新築マンションの共用施設で使っている家具も色違いで展示されていました。椅子やソファは張り地を替えるだけでもかなり印象が変わります。いつも見慣れている家具のまた違った姿に新たな発見をしつつ今年の新作コーナーを案内してもらいました。
今回の新作、まずは収納家具です。マンション、戸建共に最近は対面キッチンが主流となっています。このようなタイプをふまえ、
キッチンのカウンター部分に設置するタイプの収納家具が展示されていました。
ダイニングやリビングの家具共にコーディネートしやすい『NEWキッチン+(プラス)』は、デザインもステキでしかも機能的です。
みせる収納と、隠す収納がモダンにデザインされています。扉は引戸タイプとなっています。扉だと、開け閉めするために家具の前面に
スペースが必要となりますが、引戸なら場所をとりません。これならダイニングテーブルのレイアウトに悩むこともないですし、スペースを
有効に活用できます。シンプルなデザインですので、和と洋、どちらのテイストにも合わせることが可能です。
ただ、かなり大きな家具なので、搬入等に支障があるのではと気になりましたが、組立式になっているとのこと、しっかり配慮されていました。
そして、ちょっと気になったのが竹素材でできた家具『月華シリーズ』です。
背もたれ部分に等間隔にデザインされた竹が特徴のシリーズです。若干、細い素材がきゃしゃで弱いイメージを想像させますが、これ実際座ってみると、竹が体に沿ってしなるので、とても座り心地がいいんです。家具は、実際に触れて、座ってみて体で感じとることが大切です。見た目のデザインだけで選ぶのではなくしっかり座ってみて選びましょうね!座る人の体型によっても変わってくるはずです。
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NEWキッチン+ |
ナイスのマンションでも
おなじみのシリーズです |
後ろ姿の美しい!ソファーです |
翌日は、2012暮らしと家具の祭典を見学しに、飛騨・世界生活文化センターへ。
周囲を森に囲まれた少し小高い場所に、コンベンションホール飛騨・世界生活文化センターがあります。高山駅からタクシーで10分程度。
このイベントの主催は、協同組合 飛騨木工連合会で、毎年9月に開催されています。今年は9月5日~9日までの5日間開催されました。
実は私、何年も前から雑誌などで広告を見ては行ってみたいと思ってはいましたが、ちょっと遠すぎて行く機会がありませんでした。
今年は見学する機会に恵まれ、良かったです~!
早速会場に入ると、森の中に入ったような雰囲気です。
会場全体のライティングが暗めに設定され、各展示ブースがまさに浮き出るような演出です。ちょっと幻想的な感じです。ここでは飛騨の
家具の魅力をじっくり堪能することができます。
もちろん柏木工の家具も展示されていました。・・・・でも、ショールームで見た家具と印象が違うのです。
・・・・なんと今回、漆の塗装にチャレンジしているんです。デザインは同じなのに、こうも印象がかわるとはびっくりです。
カジュアルなファッションからドレッシーに変身!といったところでしょうか!!どちらもステキです。
会場の奥では、家具職人のマイスターが、ミニチュアの椅子を製作していました。さすがすばらしい職人技です。
また、曲木の実演も行っていました。
飛騨の家具は各社、無垢の素材を扱っているという共通点はあるものの、樹種、木の厚さ、細さ、切り方、組み合わせ方、そしてデザインが異なるのでそれぞれ個性があります。これだけ多くの家具を一同に見ることができるのでおのずと、自分の好みの傾向もみえてきます。
北欧家具とは違う日本の魅力がいっぱいの家具がたくさんありました。
私たちは、前日に 『飛騨の家具のものがたり』の本を手渡されており、一応予習して行ったのですが・・・・・
『歴史と伝統が生みだす匠の技』・・・・この言葉、なんだか渋く古くさく感じていたのですが、実はこの言葉には飛騨ならではの現代におけるメッセージが込められていたのです。
飛騨の皆さんが日本人としての誇りをもち、ひとつひとつにメッセージを込めて家具づくりをされていることを私たちもしっかり受け止めなければならないと思いました。
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2012飛騨・高山
暮らしと家具の祭典のパンフレット |
『飛騨の家具ものがたり』の本 |
会場の飛騨・世界生活文化センター |
今年の『暮らしと家具の祭典』では、『飛騨デザイン憲章』をランドマークとして、『日本の美 飛騨デザイン』というテーマと5つの条文を
揚げていました。そこの条文の第一条 『自然との共生』と題して、今回会場は演出されていました。自然との共生を考慮し、将来も持続可能なモノづくりのあり方を追求するということです。
ですから、会場内は少し照明がおとされ、植栽や切り株のベンチとまるで森の中にいるような演出がされていました。そこにオカリナ演奏も
加わりまさに癒しの空間でした。そんな会場の雰囲気と、木のぬくもりがあたたかい飛騨の家具がリンクしていて、自然のすばらしさを再確認
させてくれた展示会でした。
この展示会はまた来年も続くので、皆様も機会がありましたら是非足を運んでいただきたいなと思います。
さて、今回の会場である、『飛騨・世界生活文化センター』には、『日本の美飛騨デザイン』をコンセプトに家具や食器、小物など、優れたデザインの製品が常設展示されています。また、名作といわれる椅子もたくさん展示されています。
実際に座れるものもたくさんあります。
中央ホールには、ちょっとかわった大きな木のからくり時計もありました。
家具が好きな方にはおすすめです。飛騨の自然と木のぬくもりをゆっくり体感できますよ。
さて、次回最終回は、高山の街並を少しご紹介します。お楽しみに~!
Vol.3 飛騨の街
これまでのレポートでは家具についてのご紹介でしたが、今回は飛騨の街、主に高山周辺をご案内します。
JR高山駅の西側にある柏木工から、駅に向かう道は、少し下り坂。タクシーの中から眺める正面の景色は、穂高連峰が見えます。高山の駅周辺は平地ですが、本当に周囲は高い山々に囲まれて独特な景色です。
そうした、山々に囲まれた高山の町、JR高山駅に到着した私たちは、早速昼食をとりに駅前を散策しました。
高山の味といえば、・・・・真っ先に頭に浮かんだのは、”飛騨牛”のことでした。あちらこちらの暖簾や看板に、飛騨牛の文字がみえます。
と、同時に高山には、『飛騨そば』・『飛騨中華そば』・『山菜料理』・『精進料理』・『懐石料理』と、日本ならではの和食のお店がたくさんあり目移りします。どのお店も、高山らしい店構えをしていて、入ってみたくなります。
迷った末に、私たちは軽い昼食にしようと、おそばを食べることにして、『飛騨そば 小舟』の暖簾をくぐりました。外を歩いている人はまばらでしたが、中に入ると満席で活気があります。それに有名人のサインもいっぱい。登山の格好をしたお客様もいて人気のあるお店のようです。それぞれ、天ぷらそばと飛騨牛そばを注文して、まずは高山の食を味わいました。”飛騨牛”そばにしたのは、当然そばと飛騨牛両方を食べたかったからです。お肉は、とろける甘さで美味しかったので満足でした。
この町には『飛騨中華そば』の看板も目立つのですが、飛騨ラーメンとは呼ばないそうです。これも隠れた味名物のこだわりなのかもしれません。そして、あわせて”焼きそば”が有名だというお店『ちとせ』があり、とても気になったのですが、またの機会にということでお預けになりました。お土産にもしてくださるそうなので、次回は是非食したいと思いますし、みなさんにも味わっていただきたいところです。
夜は、地酒とともに懐石料理を楽しむことができました。
翌朝は、早起きをして『宮川朝市』に行きました。鍛冶橋から弥生にかけて、宮川沿いに続く朝市です。平日も開催しているので、いつでも楽しめるのがありがたいですね。
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宮川朝市
平日でも開催しています |
宮川 |
飛騨といえば、お味噌
味噌汁を試飲してお土産を買えます |
宮川朝市に入ってすぐに、面白い駄菓子やさんを発見しました。店の主人が高山伝統の味の由来を早口で話してくれました。
昔、そのときにある穀物を水飴と練って作ったとのこと。今では、きなこや落花生・ごまに水飴を混ぜたりして作っています。甘くて少ししっとりした感触のお菓子です。
特産の野菜や、漬物、お味噌、お菓子というお土産にする食品や、食べ歩きができる飛騨牛の串焼き、みたらしだんご、アイスクリームなどぶらぶらのんびり歩きながら、楽しむことができます。もちろん、衣類やアクセサリー、木製工芸品などなど、飛騨高山らしい品物を手にとることがいっぺんにできます。
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屋台の駄菓子やさん
飛騨高山伝統の味『こくせん』を販売中 |
左の看板コメントを拡大
おかしなコメントが沢山貼ってありました |
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さんまち筋
国の町並み保存地区 |
町屋造り |
是非高山に足を運んでみてください。
柏木工(株)訪問レポート
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https://www.vinice.jp/report/3728/