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日本の伝統芸能 能の世界

日本の伝統芸能 能の世界

日本の伝統芸能である「能」。
古くから日本を代表する演劇として伝えられている「能」ですが、
見る機会が少なく、どのような演劇なのかを知らない方は
多いのではないでしょうか。
そこで、子供の頃より「能」の舞台に立っていた方に「能」について
お伺いしました。

■Lesson1 能の基本

講師:梅若 慎太朗先生

昭和六十年生 慶應義塾大学商学部卒業
能楽観世流シテ方梅若晋矢長男
現当主梅若玄祥(六郎改)及父梅若晋矢に師事
初舞台 「仕舞 老松」を皮切りに数々の子方を勤め、平成七年 能 「猩々」で初シテ
平成十年 「翁の千歳」 、平成十三年「石橋」、 同年 「猩々乱」 を披く(ひらく)
新作能 「安倍晴明」の晴明役で出演
向田邦子作 「胡桃の部屋」に宝生舞さん(桃子役)の弟(研一郎役)として出演
平成十九年 「空中庭園能ジャンクション 當麻(たえま)-折口信夫-死者の書による」 に主演
その他、明治座・新橋演舞場などで、歌舞伎とのコラボレーション舞台などに

vinice
演劇や音楽、工芸技術などの形のない文化的所産で日本にとって歴史上、芸術的価値の高いものに指定される「重要無形文化財」の1つに「能」があります。
今回は、以前、「能」の舞台に立っていた梅若さんに「能」の世界について教えていただきたいと思います。
日本の伝統芸能の舞踊には、「能」の他にも「狂言」、「歌舞伎」などがありますが、まずはそれらの違いについて教えてください。


「安宅(あたか)」 梅若晋矢氏

梅若 先生
「能」と「狂言」は、「歌舞伎」よりも歴史が古く、鎌倉時代の後期から室町時代の初期にカタチができ、観阿弥・世阿弥の親子が作ったものです。
「能」と「狂言」の全盛期は、上流階級の人たちが楽しみ、一般大衆の人は見ることはほとんどなく、江戸時代に入っても格式が高いものでした。 そして、「歌舞伎」は江戸時代から始まり、「能」と「狂言」をもとに作られた演劇です。
「能」と「歌舞伎」の演目の中には、曲目は異なっても内容が同じものがいくつかあります。有名なものだと、源頼朝に追われている源義経が安宅(あたか)という関所を突破する、「能」では『安宅(あたか)』という演目で、「歌舞伎」では同じ内容で『勧進帳(かんじんちょう)』という有名な曲目があります。


vinice
具体的には「能」と「歌舞伎」はどのように違うのですか?


梅若 先生

まず、何よりも演じ方が異なります。「歌舞伎」というのは、江戸時代に広く一般の方にも楽しんでもらうためにつくられた公衆演劇で、より派手に、また、インパクトがあるような激しい動きが多くあります。
逆に、「能」はシンプルです。極力簡素化された空間で、余計なものをそぎ落とした動きと舞い、謡(うたい)・囃子(はやし)で表現するものです。「能」はシンプルであるが故に、観る側の想像力がとても働くといっても良いでしょう。 


vinice
なるほど、「能」の方がシンプルな演劇なのですね。「歌舞伎」というと、結構派手なメイクをほどこすという印象が大きいのですが、「能」も「歌舞伎」のようにメイクをするのですか。


梅若 先生

「竹生島(ちくぶしま)」左写真:梅若慎太朗氏 右写真:梅若晋矢氏

 

「歌舞伎」はメイクをしますが、「能」は一切しません。そのままの顔か、または面(おもて)をつけます。
演目によって、かつらをつけるときもあります。女性の役のときは長い髪をつけたり、亡霊の役のときはおどろおどろしい髪をつけます。


vinice
ところで、「能」は何かをもとにして作られたのですか。


梅若 先生
「能」のもとになっているのが、実はまだはっきりと分かっていないところがあり、有力な話としては、「猿楽」という演劇をもとにしたのでは、と言われています。
「猿楽」とは、何かのものまねをしたり、面白おかしく演じる演劇です。これも「歌舞伎」と同じように、一般大衆向けの演劇としてありました。そののち、「猿楽」を行う団体として「座」がいくつかできました。
その中で、観阿弥・世阿弥が舞い方などをより工夫したりして、だんだん「能」に近いものを作っていきました。室町時代の足利義満が観阿弥・世阿弥が作った「猿楽」を認め、一般大衆向けの演劇と差別化をはかり、上流階級向けの演劇として「能」ができたと言われています。


vinice
なるほど。「猿楽」は一般大衆向けの演劇、「能」は将軍や貴族階級向けの演劇となっていったのですね。では、「狂言」はどんなものですか。


梅若 先生
「狂言」は、「猿楽」の名残をそのまま引き継いでいるので、現在の「狂言」も何かのものまねをして笑いをとる演劇であったり、その時代の出来事を風刺して演じるものとして伝えられてきています。


vinice
「能」も「狂言」も「猿楽」をもとにしているということですが、「能」も面白おかしく演じることもあるのですか。


梅若 先生

しかし、「能」の曲目の間に狂言の方がでる「間狂言(あいきょうげん)」があり、そのときは面白い話をすることもありますが、基本的には「能」の演目では、笑いはないですね。


vinice
なるほど。「能」はやっぱり芸術性の高いもので、一般的には少し敷居が高いというイメージが強いようです。
LESSON2では、もう少し「能」について深く教えていただきたいと思います。

日本の伝統芸能 能の世界
https://www.vinice.jp/wp/wp-content/uploads/2016/12/nou_st.jpg

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