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アイメイトは私の愛する目の仲間

〜視覚障碍者の自立のために〜
昨今、街を歩いていてもバリアフリー化が推進され、最近では、電車をはじめとした交通機関はもちろん、レストランなどでも盲導犬をつれた視覚障害者の方を見かけるようになりました。今回は、視覚障害者の方々の自立のために活躍している盲導犬にスポットをあててみました。

■Lesson1 盲導犬とアイメイト

講師: 塩屋隆男 先生
財団法人 アイ メイト協会 理事長。
1977年入会。歩行指導員、専務理事を経て、2005年理事長に就任、現在に至る。
歩行指導員及びアイメイトの育成に努めるとともに、視覚障害者の自立のための様々な活動を行っている

『財団法人 アイ メイト協会』ホームページはこちら →→ 

 


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今回のネットセミナーでは、現在日本でもっとも多くの盲導犬を送りだしている、財団法人アイメイト協会理事長 塩屋隆男さんにお話をお伺いします。

最近、街中や電車の中でも盲導犬を見かけることが増えてきていますが、日本ではいつ頃から、盲導犬が使われていたのでしょうか。まずは、盲導犬の歴史から教えていただけますでしょうか。

■Lesson1 盲導犬とアイメイト

盲導犬の歴史

e-6塩屋先生
盲導犬の歴史というのは、それほど古いものではありません。
確実な資料では、1819年ウィーンの神父が、犬の首輪に細長い棒を着け盲導犬として正式に訓練したのが最初です。
その後1916年第一次世界大戦中、ドイツ赤十字のシュターリン氏と、ドイツシェパード協会のシュテファニッツ氏が戦盲者のために盲導犬を育成しようとオルテブルグに学校が設立しました。その後1923年には、ポツダムに国立の盲導犬学校が設立され、多くの盲導犬が誕生し、戦盲者の社会復帰を助けました。
そして、このようなドイツでの盲導犬の活躍を見た米国人ドロシー・ユーステス夫人が、1929年にアメリカ・ニュージャージー州に設立したのが、現在世界で最も歴史と実績のあるThe Seeing Eye,Inc.です。


pct1VINICE
日本ではいつ頃からなんでしょうか。


e-6塩屋先生
日本では、1938年にアメリカのゴルドン氏がオルティという盲導犬をつれて来日したのが初めてで、その後1939年にドイツから、すでに訓練済みの4頭の盲導犬を輸入し、戦盲軍人が使用したのが日本での盲導犬の始まりです。しかし、4頭の死後は盲導犬は絶えたままでした。
そして戦後、アイメイト協会の創設者である、塩屋賢一が独自の訓練方法で日本で第一号の盲導犬“チャンピイ”を完成させたのが、1957年です。実質的には、日本の盲導犬の歴史の始まりは、この“チャンピイ”からとなります。


pct1VINICE
ということは、日本での盲導犬の歴史は、まだ50年なんですね。 
それでは、日本で初めての盲導犬を誕生させたアイメイト協会では、どのような活動をされているのでしょうか。

アイメイト協会とは・・・

e-6塩屋先生
財団法人アイメイト協会は、非営利の盲人更生援護施設です。
当初、日本盲導犬学校の名で事業を開始、財団法人東京盲導犬協会として1971年に法人認可されその後1989年4月に現在のアイメイト協会に名称変更しました。
アイメイト協会の使命は、視覚障害者が盲導犬を使って、『尊厳と自信を持ち、自由に出歩ける生活』をするためのお手伝いです。e-8
そのために、素質のよい候補犬を用意。経験豊富な歩行指導員により、候補犬に訓練をし、それが終了すると、盲導犬を使うための技術を視覚障害者に指導する。そして、更に視覚障害者が独立した生活を送れる社会になるよう、また視覚に障害があることと個人の才能は全く別であること等の啓発活動もしています。
この啓発活動の一環として、毎年ゲストをお招きしてのコンサートや、10月の1週目の日曜日をアイメイトデーとしてイベントを開催しています。
今年は、4月15日に横浜のみなとみらいで、オカリナ奏者の宗次郎さんをゲストにチャリティーコンサートを開催します。また、今年はアイメイト協会50周年なので、10月7日には記念式典も開催します。


pct1VINICE
そのようなイベントは、 誰でも参加できるのですか。


e-6塩屋先生
はい。どなたでも参加していただけます。視覚障害者の方もアイメイトを連れてたくさん参加しますので、実際にアイメイトがどんな働きをしているかを見ていただける良い機会です。
是非おいでください。
みんなとてもお行儀がいいですよ。


pct1VINICE
そうなんですか、わかりました。あの~、アイメイトというのはどういった意味なんでしょうか。


e-6塩屋先生
はい。アイは私( I ) 目(Eye)  愛(Love)を表します。
アイメイトは私の愛する目の仲間 なんです。
ですから、私どもの協会では、盲導犬とは呼ばず、アイメイトと呼ぶのです。
盲導犬では、「盲」を「導」く「犬」となり、主役は犬ととらえられがちです。
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アイメイト協会では、主役はあくまで、人(視覚障害者)であることを主張し、アイ メイト協会出身の盲導犬には、アイメイトの名称を使っています。

ですから、アイメイト協会のマークには、犬だけでなく、人と犬がデザインされています。

アイメイト協会マーク

主役はあくまで人です

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なるほど。それではここからは、アイメイトと呼ばせていただきます。
確かに、盲導犬を取り上げた映画やドラマなどを見ているせいか、どうしても犬が主役と思いがちなんですが・・・。


e-6塩屋先生
メディアの力というものはすごいもので、皆さん盲導犬のドラマなどを見て、泣けた・感動したとよく言われるんですが、ここで間違えてほしくないのは、犬が主役ではないということなんです。
ドラマを作るにしても、動物、つまり犬を主役にすれば、視聴率が稼げるという安易な考えから犬を前面にだす構成になってしまうのでしょうが、本来の主人公である視覚障害者に視点をあてないと本当のところは見えてこないはずなんです。


pct1VINICE
たしかに、動物主役の番組は視聴率が上がるので、困ったら動物を使うなどの話も聞いたことがありますし、つい、そういう番組を見てしまうのも事実ですね。


e-6塩屋先生
最近では、盲導犬に対する理解が広まったなどという話も聞きますが、たしかに空前のペットブームで、犬自体に関心が集まっており、犬を主役にすると皆さん飛びついてくるという現象も起こっています。
しかし、犬(盲導犬)にばかりスポットがあたりすぎてしまって、正確な理解がされていないのではと思います。   


pct1VINICE
それでは、人が主役であるという部分をもう少し詳しくお聞きしたいのですが。


e-6塩屋先生
そうですね、一般的な盲導犬のイメージとしては、頭のいいスーパードッグがいて、その犬が目の見えない人をひっぱって歩くと思われるのではないでしょうか。しかし、実際はそうではなく犬は訓練されてはいますが、訓練されるということは、人から使われるということを覚えているだけなんです。


pct1VINICE
人から使われることを覚えるんですか?


e-6塩屋先生
例えば、人間の場合、足し算引き算を学校で教われば、お店に行って買い物をすることができますよね。受けた教育を活用できるわけです。ところが、動物はできません。
犬が訓練を受ける・教育されるということは、人から使われることを覚えるだけなんです。
あくまで、人から指示されて行動することを覚えるんです。


pct1VINICE
ということは、きちんと指示をしないとだめということですね。


e-6塩屋先生
そうです。ですから、私どもの一番重要な仕事は、犬を使った歩き方を使用者、つまり視覚障害者に指導することなんです。犬は動物ですから自分で自分を律することはしません。ですから、きちんと指示をだせない人のもとにいけば、普通の犬になってしまいます。ここで、ひとつアイメイト使用者の方の川柳を紹介します。
“盲導犬 人がいなけりゃ 只の犬”
あくまでも 主役は人ですから、そこに視点を置いていただき、盲導犬自体の問題ではなく、その人の社会参加の問題という捉え方をすることを忘れてほしくないんです。


pct1VINICE
なるほど。いままで持っていた盲導犬の認識が変わりました。
次回は、アイメイト誕生までの過程をお伺いしたいと思います。

アイメイトは私の愛する目の仲間
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