講師:坂本智恵先生
ウィンドウフィルムアドバイザーとして活躍中。
お仕事を通して得た知識を生かし、紫外線から身を守る方法をアドバイス。
以前はそれほど気にしていなかった紫外線ですが、今では紫外線計測シートを常時携帯するなど熱心に活動されています。
㈱ウインテック http://www.film-eworks.com/
太陽が近いとキケン?
VINICE
陽射しが眩しい季節となりました。
夏は、明るい陽射しのお陰で、街や山々の景色が色鮮やかに見えて、気分が明るくなる季節でもありますが、反面、その陽射しが肌にじりじりと当たり不快な思いになる季節ともいえます。
そして、雑誌やCMでは、日焼け止めの広告が多く流れ、紫外線対策の話題がかかせません。
今回は、いまからでも間に合う、紫外線対策について、坂本先生にお話を伺います。先生、よろしくお願い致します。
坂本先生
よろしくお願い致します。
VINICE
紫外線は一年中存在していると思いますが、なぜ、この時期になると特に紫外線対策が話題にあがるのでしょうか?
坂本先生
そうですね、薄着になり肌の露出度がアップするということもありますね・・・。
紫外線は、春から初秋にかけて(4月~9月)1年間のおよそ70%~80%が照射されます。
ですから本来は陽射しが強く感じられるようになる夏よりも一足先に、春から紫外線対策を始めるべきなんです。
夏に向け太陽の高度がだんだん高くなり、太陽光が地上に届く間に通る大気の層の距離が冬に比べて短くなります。
その結果この大気の層、すなわちオゾン層での紫外線の吸収が少なくなり、地上に多く届いてしまい、私達は”紫外線が強くなる”と感じるのです。地球の周りのオゾン層と太陽
VINICE
それは単純に考えて、太陽の高度が高くなり、より近づくために、紫外線が強くなるというわけではないのですか?
例えば、標高の高い山頂も紫外線が強いといいますし・・・・。
坂本先生
太陽までの距離というより、通過するオゾン層の厚さの違いです。
日本では、緯度の低い沖縄などの南の方が、北海道などの北よりも、紫外線が強くなります。
標高の高い山頂は、太陽に近いから強いと言えます。標高が1000メートル上昇するごとに、UV-Bが約10%増加します。
またその山が、雪山であるとしたら、雪面からの反射による紫外線の存在も忘れてはなりません。
高度が1000m上昇する毎に紫外線が10~12%増える
日陰は日向の50%
屋内は屋外の量より10%減
紫外線の反射と透過
紫外線とは?
VINICE
その紫外線についてですが、実は知っているようで意外と知らないことがあります。
まずは紫外線について教えていただけますか。
坂本先生
地上に届く太陽光には、目に見える①可視光線と、熱として感じる②赤外線と、目にも見えないし、感じることもできない③紫外線が含まれています。
太陽光の中での割合は、可視光線が52%で赤外線が42%と大半であり、紫外線は約5~6%にすぎません。その紫外線のうち波長の長いもの(315~400nm)をUV-A、波長が短いもの(280~315nm)をUV-Bと呼びます。
目で見える光(可視光)が、7色の分光されることはみなさんご存知かと思います。
その色は、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫・・・・空に見える虹の色です。
この可視光の紫より、波長が短く、紫の外側にある光を紫外線と呼びます。
光線のメリットとリスク
VINICE
紫より外側が、紫外線、赤の外側が、赤外線・・・と言っているのですね。
紫外線や赤外線は、目に見えない光というわけですが、赤外線は熱を発しているから存在を感じることができるんですね。
暖房や、調理器具、マッサージの機械などに利用されていますね。
それでは、それぞれの特徴を教えてください。
坂本先生
可視光線は、消火液の分泌や胃腸の働きをよくする働きがあります。そして、生態のリズムを調節します。
赤外線は、健康器具でも利用されるように血行促進に役立ち、神経や筋肉の緊張を和らげます。
紫外線は、ビタミンD3を合成したり、カルシウムの吸収に役立ちます。また、殺菌や新陳代謝を促進する効果もあります。
VINICE
紫外線は、骨をつくるといって、日光浴を薦められていましたね。
子供たちは、親に外で遊びなさい!と言われましたね・・・・。
坂本先生
一方で、赤外線や紫外線にはそれぞれ、リスクがあります。
赤外線は、ずっと浴びていると熱中症になる危険性があります。夏、屋外で過ごすときは注意が必要です。そして、紫外線は、皮膚がんや白内障を発症するといわれています。また免疫を低下させるというリスクが注目されています。
最近の母子手帳を見たことがありますか?
昔と記載内容が変わっているんですよ。
以前は、日光浴と記載されていたのですが、1998年より改訂されて現在は外気浴と記載されています。
VINICE
太陽の光を浴びるのではなく、外の空気を浴びる程度に、訂正されているわけですね。
少しの量ですむということなのでしょうか。
坂本先生
UV-Bによって、体内でビタミンDが作られます。ビタミンDは、骨や歯の形成を助ける作用があります。しかし、体に必要とされるビタミンDは、1日に15分程度の散歩で十分得られます。ビタミンDは必要な量以上は生成されないため、UV-Bをたくさん浴びても意味がありません。
その後ひきつづき、多くの紫外線を浴びると、皮膚がんや白内障、免疫力の低下など発症する可能性があります。
こうしたリスクの方が昨今注目されて、紫外線対策が必要になったわけです。
VINICE
皮膚がんの危険性はよく耳にしますね。
坂本先生
最近の幼稚園では、紫外線から子供達を守るために、サンカット用の特殊な帽子や水着、ポロシャツ、遊び着を義務付けて遊ばせているところがあるくらいです。
紫外線対策の先進国のオーストラリアを参考に、こうした子供達を紫外線から守る対策が増えています。
光線のメリットとリスクの比較表
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メリット |
リスク |
可視光線 |
消火液の分泌、胃腸の働き快調。
生態リズムの調節。 |
とくになし |
赤外線 |
血行促進。神経、筋肉の緊張緩和。 |
熱中症。 |
紫外線 |
ビタミンD3の合成、カルシウムの吸収促進。
殺菌、新陳代謝の促進。 |
皮膚がん・白内障。
免疫力低下。 |
VINICE
では、次回はその対策方法をご紹介したいと思います。
お肌への影響
VINICE
紫外線で、いちばん怖いと感じるのは、肌へのダメージですね。”皮膚がんになる!”と聞きますし、屋外で陽射しに長く当ると肌が赤くなったり、黒くなったりして、肌が刺激を受けて痛みを感じますね。夏ならではの日焼けの悩みです。
でも、この紫外線による肌へのダメージのメカニズムをよく理解していないのですが、詳しく教えていただけますか?
坂本先生
紫外線の中には、更に細かく3つの波長の違う性質をもった紫外線があります。
波長の長いものから、紫外線A波(UV-A)、紫外線B波(UV-B)、紫外線C波(UV-C)というものです。UV-Aとかよく耳にしますよね。
まず、紫外線A波は、コラーゲンを破壊する力があります。
肌の土台といえる真皮の大部分はコラーゲンでできているのですが、UV-Aはこの真皮のコラーゲンを直撃し、破壊します。
そして弱った土台からは、保水力の弱い細胞しか生まれない上に、肌の生まれ変わりの働きである新陳代謝が乱れて、肌は透明感もなく、くすんで見えます。このままコラーゲンが壊され続ければ、当然肌のハリも失ってしまいます。
VINICE
肌の表面でなく。その中の土台、真皮がダメージを受けるわけですね。日焼けすると乾燥した感じになります。
“細胞を破壊する!”となると、本当に放っておけないですね。
坂本先生
そうですね。紫外線A波は、曇り空や窓ガラスも突き抜けてきますから、油断できません。
そして、いわゆる日焼けを起こすのが、紫外線B波です。
紫外線B波は、表皮と真皮の境目にあるメラノサイトに、メラニンを作らせ肌を黒くします。曇り空や窓ガラスも突き抜けてくるA波に比べると、日傘や帽子などでいくぶんか防ぐことができるので、日常のちょっとした心がけで対策がとれます。
VINICE
紫外線C波は、どうですか?
坂本先生
紫外線C波は、エネルギーがとても強く、細胞を殺したりDNAを傷つけたり、非常に人体に悪影響を与える恐ろしい存在ですが、途中の空気層(オゾン層)で遮られているので心配ありません。
でも、地球の温暖化が進み、空気層がどんどん薄くなると、オゾンホールから紫外線が届いてしまう心配があります。
もし、届いてしまったら、生物はまず生きることができないと言われています。
現在、オゾン層が破壊されることのない状況にするために、地球温暖化の要因、CO2の削減が必要なんです。
地球温暖化についてはまた後日じっくりお話させていただきたいですね。
VINICE
紫外線が地表に全て届いてしまったら、地球全滅ですね! 地球温暖化の環境問題は深刻です・・・・。
日焼けが健康的な印象であったのは、もう過去の話。紫外線が、実は健康を害する存在だと、いろいろと判明してきているんですね。自分を守るには、きちんと自分自身で対策する必要がありますね。
ところで、日焼けと言いましても肌が赤くなる人、黒くなる人がいますが、体質でしょうか?
それともこの紫外線A波とB波によるダメージの症状なのでしょうか?
坂本先生
日焼けして肌が赤くなるのは、サンバーン(紅班)で一種の火傷です。
日焼けして肌が黒くなるのは、サンタンで皮膚に色素沈着ができた状況を言います。メラニン色素が多くなった状況です。
サンバーンは、紫外線に暴露した数時間後、サンタンは日焼けが消失した数日後に現れる症状です。個人差があります。
サンバーンを何度も繰り返すことが、皮膚がんになる原因だと言われています。
外出時の対策
VINICE
では、早速、紫外線の対策方法を教えてください。
坂本先生
まずは、紫外線の多い時間帯はできるだけ外出しないこと。なかなかそうはいきませんね。(笑)
外出する際に、紫外線を防ぐ方法としては、いろんなアイテムが必要になります。ポイントは、カラダを覆うものが必要です。
まず、頭のほうからいくと日傘または帽子、衣服、手袋、サングラス、サンスクリーンですね。
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対策効果 |
日傘 |
UV加工繊維の日傘。 およそ50%の防御効果。 |
帽子 |
およそ60%の防御効果。 |
着衣 |
厚手の白生地が有効。 |
手袋 |
肌を覆う。 |
サングラス |
可視光線を吸収、紫外線をブロックする。
反射光をブロックして目を守ってくれる偏光付レンズがおすすめ。 |
サンスクリーン |
日焼け止めクリームを上手に使う。 |
VINICE
夏は暑いからといって薄着になりがちですが、肌を露出するのはできるだけ避けたほうがいいわけですね。
それと、洗濯物を屋外に乾すときも、油断できませんね。
坂本先生
紫外線の強い時間帯、午前10時から午後の2時までの間を避けて作業するようにしたほうがいいですね。
洗濯は、朝早起きをして行うのがやはりいいですね。
VINICE
ところで日傘や帽子は、黒いものと白いものとでは、どちらがいいのでしょうか?
坂本先生
色で言ったら、UV加工されていない生地の場合、黒い傘が100%遮蔽するのに対して、白い傘は60%の遮蔽となります。
以前、UV加工された生地の日傘で、紫外線の遮蔽を比較した資料を見たことがありますが、どちらもそんなに大差がありませんでした。それぞれUVを90%カットする生地を使った日傘が、空からの陽射しを防いだとしても、地表からの照り返しによって、大きな差が生じなかったようです。ただ、黒い傘は陽射しを遮る効果があると同時に熱を吸収します。だから、傘の表面を触ると温かくなる場合もあります。
今では、紫外線防止素材を使用しているものがほとんどですから、ファッションにあわせて選ぶといいでしょう。日傘は、紫外線をおよそ50%防御します。
VINICE
お昼休みに外出するOLさんも、きちんとみなさん日傘を差していますよ。
坂本先生
それと帽子です。およそ60%の防御効果があります。この帽子のカタチは、太陽高度が65度のときに、つば7cmが有効と言われています。キャップ帽の場合、首の後ろを防ぐように布がある帽子が効果的です。これらの帽子を子供にかぶらせて遊ばせるようにしている幼稚園があるくらいです。
そして着衣は厚手の白生地が有効です。ポリエステルは紫外線B波を防ぐのに最適です。
手には手袋をしましょう。レースのものがありますから、涼しくしながらできるだけ肌を露出しないようにしましょう。
そして、サングラスをして目を守るようにしましょう。
サングラスは、可視光線を吸収しつつ、紫外線をカットします。その中でも、反射光をブロックして、目を守ってくれる偏光付レンズがお勧めです。プラスチックのレンズの場合は、UVと表示のあるものを選びましょう。
そして、肌を覆うことのできない部分は、上手に日焼け止めクリームを塗って覆うようにしましょう。
日焼け止めの塗り方
VINICE
ところで、日焼け止めはいろいろなタイプがありますね。どのように使いわけたらいいですか?
坂本先生
顔に使用する場合は、クリーム状のものでしたらパール2粒、液状のものでしたら1円玉2枚分をまんべんなく丁寧に塗り伸ばし、その後にもう一度、同量を重ね付けします。
VINICE
2度、重ね塗りするのですか?
坂本先生
はい。汗をかいたり、タオルやハンカチで拭うと落ちてしまうので2~3時間おきに塗りなおします。なかなかできないかもしれませんが・・・・。そして、日常生活とレジャーの時で、SPFとPAを使い分けます。
VINICE
SPFとPAの使い分けの違いを教えていただけますか?
坂本先生
SPFは、『サン プロテクション ファクター Sun Protection Factor』で紫外線B波を防ぐ効果の度合いを示します。
PA値は、『プロテクション グレイド オブUVA Protection grade of UV-A』の略で、紫外線A波をブロックする度合いの目安となります。
紫外線が当った2~4時間後に、メラミン黒化を防ぐ度合いを「+」で表します。
【PAの度合い】
+・・・・・・・・・効果がある
++・・・・・・・かなり効果がある
+++・・・・・非常に効果がある
日常生活では、PAは+で十分です。レジャーの際には、「++」を目安にしてください。
VINICE
例えば、SPF50と表示されている場合は?
坂本先生
紫外線に当たり、日本人の肌が赤くなるまでの時間の平均が約20分とすると、SPF30の場合、30倍の時間遅らせることができるという意味です。
ですから、20分×30倍=600分。よって、10時間となります。10時間遅らせることが可能になります。数年前には、数値の大きいものがありましたけど現在はSPF50が最高です。1000分=約16時間遅らせることが可能ということです。
でも、途中剥がれてしまいますから、こまめに塗りなおす必要があります。
VINICE
日焼け止めには、クリームやリキッドタイプ、スプレータイプなどいろいろありますけど、その中でもやはり白くならないタイプがいいですよね。
坂本先生
白くならないタイプの日焼け止めは、とてもすぐれた特性があるけれど、まれにアレルギー反応を起こす方もいらっしゃるようですから注意してください。これは、紫外線吸収タイプの日焼け止めにみられます。逆に白くみえるタイプは、紫外線散乱型のものです。吸収タイプ・散乱タイプは、それぞれ成分が異なるので、購入するとき成分をチェックしてみると良いと思います。散乱タイプの代表的な成分に、酸化亜鉛と酸化チタンがあります。これが入っていないのが吸収タイプだと覚えておくと便利です。
最近は、それぞれの良いところを含んだ日焼け止めもあります。敏感肌の人は、ベビー用の日焼け止めを使用するようにしたら良いでしょう。
肌の老化は、紫外線をどれだけ浴びたか、それが80%を占めるので、今からでも肌を守るように心がけましょう。
UVインデックス
VINICE
普段は、ベビー用、海など紫外線が多い場合は、強力なタイプなど何種類か用意して、時と状況に応じて上手に使い分け、きちんとお肌を守るようにする必要がありますね。
ところで、その紫外線の量に応じて対策する場合、紫外線の強さや量の見分け方はどうしたらいいですか?
最近天気予報に紫外線指数みたいなものありますね。
坂本先生
オゾン層の破壊によって、地上に到達する紫外線が増加していることが分かってきてから、世界保健機構(WHO)が、紫外線が人体に及ぼす影響の度合いを分かりやすくするために、紫外線の強さを指標化したのです。それが、UVインデックスです。
日本では、2003年に環境省から具体例が出るようになりました。そこで気象庁から、日々の紫外線対策を効果的に行えるように、UVインデックスを用いた紫外線情報を提供するようになったのです。
参考:UVインデックスに応じた紫外線対策
|
メリット |
リスク |
1~2 |
弱い |
安心して屋外で過ごせます |
3~5 |
中程度 |
日中はできるだけ日影を利用 |
6~7 |
強い |
できるだけ、長袖シャツ、日焼け止めクリーム、帽子を利用 |
8~10 |
非常に強い |
日中の外出はできるだけ控える |
11+ |
極端強い |
必ず、長袖シャツ、日焼け止めクリーム、帽子を利用 |
WHOのガイドを参考
VINICE
その数値の意味を理解して、紫外線情報を有効に活用して肌の対策をしましょう。
眼への影響
VINICE
外出時の対策のアイテムのひとつに、サングラスがありますが、どのようなタイプがいいのでしょうか?
私は、屋外でスポーツする時や、車の運転時ぐらいしかかけることがありません。
でも、ショッピングするときもかけておいたほうがいいのでしょうか?
目に対する紫外線の影響にはどのようなものがありますか?
坂本先生
紫外線による、眼への影響はいろいろと分かってきています。
眼の水晶体は、ものを見るためのレンズであり紫外線吸収フィルターの役割ももっています。
水晶体のたんぱく質は、紫外線を吸収すると酸化凝集します。最近増加している老人性白内障は、長年の間に吸収したUV-BとUV-Aが主な原因だといわれています。それは、生涯にどれだけ紫外線のばく露を受けているかによって白内障が発症するかどうかといわれていますから、将来発症しないためにも普段から眼を保護することが大切です。
その他に、雪目や翼状片などがあります。
VINICE
以前、私はサングラスをかけていたのにもかかわらずに雪目になったことがあるんです!
そのときは、スキー場で大会を見学しているときで、ゴール地点から斜面を見上げていたんですね。サングラスは、斜面の上を見るときの眩しさを防御していたのですが、知らないうちに眼が焼けていたのです。
どうも雪面からの照り返しが、レンズの周囲から、眼に入ってきていたみたいなんです。
せっかくサングラスをして、眼を守っていたつもりなのに、レンズの脇から光が入るとは、油断してしまいました。
その夜、眼が赤くなり、ひりひりして大変でした。
坂本先生
雪目になった人に、おめにかかったのは初めてです・・・・。
雪目は、強い紫外線にばく露したときに見られる急性の角膜炎症です。だいたい2~4日で自然治癒しますが、眼に急激に強い痛みが生じるので、二度とこのようなことが無い様に注意してください。
眼に照射される太陽光は、正面ばかりからではなく、上下、左右の脇から、直接または頬を反射して間接的に照入射されることがありますから、サングラスのレンズの形も注意が必要です。
レンズは小さめのものを使用するより、大きめのレンズを選んだ方が、より眼を保護できる場合もあります。
ファッション重視でサングラスを選ぶだけでなく、自分の骨格にあった形のサングラスを選ぶようにしましょう。
VINICE
登山家のサングラスが、ゴーグルみたいな形をしている意味が分かりますね・・・・。
色の濃いレンズと、色の薄いレンズでは、どちらが効果あるのでしょうか?
坂本先生
色の濃いレンズをかけると、眼に入る光の量が少なくなるため、瞳孔が普段より大きく開きます。もし、そのときに、紫外線カット機能が無いレンズを使用すると、かえってたくさん紫外線を吸収してしまう可能性があり危険です。濃いレンズでは、きちんとUVカット機能があるものを選びましょう。
サングラスや紫外線カット眼鏡を適切に使用すると、眼へのばく露を90%カットすることができます。
夏はどんな服が向いている?
VINICE
眼さえも、紫外線から守る必要がある場所なんだとよく理解できました。
とにかく紫外線を浴びないようにするために、できるだけ眼やカラダを覆うようにしたほうがいいわけですね。
しかし、暑い夏に、どんな服が向いているのでしょうか?
坂本先生
七分袖や襟付きのシャツのように、カラダを覆う部分の多いものが、紫外線からカラダを守ってくれるので理想的ですね。
また、繊維の織り目や編目が詰まった生地を使った服が効果的です。
これは皮膚に到達する紫外線を減少することができます。素材としては、木綿やポリエステルなどの生地が向いています。
VINICE
木綿の浴衣は涼しそうですね。でも、目が詰まった繊維はなんだか暑そうですね・・・。
坂本先生
それ以外の方法で、私は外出するときにポリエステルの薄いカーディガンを持ち歩いています。
これはしわにならないので、バッグの中にポイッと入れることができます。外を歩くときや、エアコンがきいて涼しい室内で着用しています。色のバリエーションも多く用意しています。
このカーディガンは紫外線から肌を守ってくれるし、寒さ対策もできるのでお勧めです。
VINICE
服装がノースリーブの場合などに効果的ですね。
坂本先生
それから、今購入しようとしているのがUVカットのストールです。
竹繊維でできたものや、アクリル製、オーガニックコットンの手紡ぎで、できたものなどいろいろあります。
まだ購入していませんが、大判だし、カーディガンと同様に、バッグの中へ手軽に入れられそうなので、是非みなさんにもお勧めします。
VINICE
なるほど・・・。便利ですね。
あとは、“夏用清涼スーツ”という言葉に惹かれ、商品を購入する場合もありますね。
夏場でも、黒のスーツを着る必要があるときは、“カラダを覆うけど、涼しい”そのような商品の特徴は重要視しますね。
坂本先生
でも、それは紫外線対策とは関係ないのではないかしら。
紫外線に向く繊維の木綿やポリエステル製でしたら効果があるかもしれませんが・・・・。
余談ですが、暑い日でも黒いスーツを着用しなくてはならない日本のビジネスマンは大変ですね。
蒸し暑いアジアの風土に、スーツは合いませんよ。アロハシャツとかのほうが合理的よね。
UV繊維
VINICE
ところで、最近は洋服を購入するとき、UVカット繊維などのタグがついていることが多いですね。
どのようにして、紫外線をカットしているのでしょうか?
坂本先生
UVカットの繊維には2つのタイプがあります。
特殊な糸を使って織り込んだものや、織りあがった生地に後から加工を施すものがあります。
特殊な糸には、例えば丸い糸ではなくて平たい糸を使用して、織り目の密度を濃くし紫外線を反射して、短い波長の紫外線を透過しないようにしています。
また、織りあがった生地に加工する方法には、吸収剤を繊維に染み込ませるものと、反射する薬を繊維に加えて遮蔽するものがあります。天然素材には、吸収させるものが多いようです。
VINICE
ストッキングやTシャツ、スポーツウェアなどの衣料品、それにカーテンレースなどインテリア用品に、幅広く使われていますね。
坂本先生
織り目が高密度な繊維ほど効果的なので、加工を施さなくても織りが密な繊維も同様に効果があります。
ポリエステルのジョーゼットなど透けるような繊維に比べたら、綾織のツイルのほうが効果的です。
でも、生地が厚手になりがちなので、是非紫外線対策によって生まれたUV加工を施した繊維の衣料品を選んで、夏を涼しく過ごしてください。
VINICE
科学的に、紫外線(UV)から肌を守るものが商品化されているのなら、上手に効果的に活用したほうがいいですね。
次回は、家で過ごすのに必要な紫外線対策について教えていただきます。
窓からの侵入対策
VINICE
カラダを直接守るための対策がわかってきました。
紫外線の強い時間帯は、外出しないようにしたほうがいいということでしたが、では家の中は安全なのでしょうか?
坂本先生
紫外線は、ガラスを通して侵入することもありますから、必ずしも家の中にいれば安全とは限りません。
例えば、寝室に東向きの窓がある場合、朝日が射し込む窓からは、大量の紫外線が室内に入射します。窓に紫外線対策がされていれば問題はありませんが、何もしていない場合は大変なことが起きています。
寝ているときは、お化粧を落とした素肌のままです。そこへ思い切り紫外線が照射されているということが起きているのです。
一生懸命お肌のお手入れをしていても、この労力も台無しですよね。
VINICE
朝日の陽射しを心地よく感じて目覚めていましたが、実は素肌のまま紫外線を思いきり浴びていたんですね。
油断していました!
では、このようなことが起きないように、その対策方法を教えてください。
坂本先生
紫外線は、開口部から侵入します。ですから、窓ガラスに紫外線対策を施します。
それは、窓ガラスに紫外線防止フィルムを貼ると、紫外線をカットすることができます。
VINICE
Lesson3のお話にもありましたように、UVカット用の繊維を使ったカーテンで紫外線をカットすることもできますね。
坂本先生
そうですね。でも紫外線防止フィルムの場合は、カーテンと違い、窓ガラスの内外の視線を遮ることなく、紫外線を防止することができます。
例えば、住宅に限らずお店でも施工していることが多いですね。以前、インテリアショップのフィルム施工をしたことがあります。
こちらは道路に面した部分が全面ガラスのとても見通しが良いお店でした。多くの家具が並び、大変人気が高いお店として営業していたのですが、あるときディスプレイを変更したら、テーブルの上に置かれていた小物の跡が、くっきりと家具に日焼け跡を残してしまったのです。50万円相当のテーブルでしたが、当然、商品は売り物にならなくなってしまいました。大きな損害ですよね。
商業ビルには、予め紫外線防止対策が施されていることが多いのですが、ここはされていなかったのですね。そこで、後から紫外線防止フィルムを貼ることになったのです。
その後、紫外線対策以外にもフィルムの遮熱効果によって真夏の暑さが軽減されエアコンの省エネになった、と嬉しいご報告をいただきました。
省エネ効果
VINICE
紫外線防止フィルムを貼ると、日焼け防止効果以外にも効果があったのですね。
坂本先生
はい、冷暖房などの空調機能を効率よくする役割もあるのです。
コンビニエンスストアなどの頻繁に出入りするお店では、常に室内の温度を維持するために空調がフル稼働です。そして少しでもエネルギーを無駄にしないように、開口部から流出を防ぐことが必要なのです。熱は、7割が開口部、つまり窓ガラスから入ってきます。壁には断熱材を入れる事ができますが、窓ガラスには入れられませんので遮熱効果のあるガラスフィルムは効果的です。
このガラスフィルムには、建物に合わせていろいろなタイプがあります。マンションでは窓ガラスが共用部分になりますので、色の濃いフィルムは不向きです。色が付かない透明断熱というタイプのガラスフィルムが多く採用されています。
VINICE
窓が大きいと、明るくて視界が広く、気持ちの良い印象となりますが、紫外線が部屋に入るかと思うと、開口が大きいのも気が引けますね。でも、この窓に、紫外線防止対策さえすれば、今まで通り、窓ガラスのメリットを生かすことができますね。
地球を守る・・・・・CO2対策
VINICE
こうして、家を守るために、紫外線対策してみると、それだけでなく省エネにもつながってきますね。
そして人々が紫外線に対して、敏感に反応するようになったのは地球環境と関連しているからですね。
最近、環境省より窓フィルムのことを推奨しているという新聞記事がありましたね。
坂本先生
室内の冷房負荷を低減させることによって、人工排熱を減少させ、ヒートアイランドの抑制効果が得られるものとして、2006年度の環境技術実証モデル事業の対象となりました。
今後は省エネ効果を発揮する日射遮蔽フィルムがビル、店舗、一戸建ての住宅に普及していくでしょう。
これ以外の対策に、夏の日差しを和らげてくれるのが昔ながらの「よしず」があります。ホームセンターなどで手軽に買うことができます。そして、一戸建ての住まいなどで、庭がある場合にはテラスを設置したり、樹木を植えることである程度の日よけができます。このようにして、少しでも冷房負荷を低減させる努力を、みなさんひとりひとり心がけていくといいと思います。
VINICE
人類と地球を守るために、ひとりひとりが紫外線対策をするように心がけていただきたいですね。
先生、どうもありがとうございました。
坂本先生
はい、ありがとうございました。
環境省のホームページをご覧いただくと、いろいろ情報が掲載されていますので是非ご覧になってみてください。
夏の冷房は1℃高く 28度。冬の暖房は1℃低く 20度 を目安にしましょう!
紫外線対策していますか?
https://www.vinice.jp/wp/wp-content/uploads/2016/12/uv_t3.jpg
https://www.vinice.jp/lesson/1805/