講師:堀口俊英 氏
(株)珈琲工房HORIGUCHI 代表取締役
米国スペシャルティコーヒー協会(SCAA)認定カッピングジャジ
日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)認証コーヒー・サスティ
ナビリティ委員会副委員長
堀口珈琲研究所にて、コーヒーの栽培・精製の研究、セミナーの
運営、開業のコンサルティング、生豆の輸入、LCF(全国のビーン
ズショップ約80店のグループ)の運営などを行う。朝日カルチャー
センターや Tu as raison (フードコーディネータースクール)などの外部団体でも講師を務める。 須賀さん曰く「女性には絶大な人気」との言葉通り、足を組みつつどんどん出てくる言葉には、ヴィニーチェスタッフも惹き込まれていきました!
堀口珈琲HP → http://www.kohikobo.co.jp
須賀かおり 氏
珈琲工房HORIGUCHI 世田谷店スタッフ
こだわりあるコーヒーショップでアルバイトをしたことがきっかけで、喫茶店に興味を持ち、ご友人に紹介されてセミナーに堀口氏のセミナーに参加。「マスターの毒舌ぶりにはまり(笑)」受講を続け、「うちで働いてみない?」とのお誘いから、以後世田谷店で働く。 ご本人曰く、「まだまだ勉強中」だそうだが、知らずに入った他店で珈琲を飲み、「うちで扱っている珈琲」と気づくほどの知識と舌をお持ちです!
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vinice
まずはじめに、まったくの初心者が楽しめる美味しい珈琲の入れ方を教えてください!
堀口氏
最近、女性はコーヒーに関心が高い人が多いです。スターバックスなどのコーヒーショップでも半分以上は女性でしょう。うちのセミナー(堀口氏が開いている堀口研究所セミナーのこと。後述)でも50%以上が女性で、それも20代~30代の若い女性が多く、思った以上に関心を持つ方が増えてきていると感じます。そんな中、家でちょっと飲んでみようと思う人にぜひチャレンジしてもらいたいと思います。
入れ方は、大きく分けてペーパードリップかフレンチプレスのどちらかです。どちらにしても、コーヒーの選び方が難しい。
vinice
まずは、好みから考えるのですか?
堀口氏
いや、それよりもまず重要なのは新鮮かどうか、という点になります。
フレッシュで、炒りたて。こういう新鮮なものは、新陳代謝も良くしてくれる、ダイエット効果もあるし、胃にも優しい。ところが空気に触れて鮮度が劣化してくると、胃が重く感じてしまいます。
ローストしたて(炒りたて)かどうかは、外観上の見た目ではわかりません。まずパッケージにして販売してあるコーヒー豆は、日にちが経っていると考えてください。おすすめは、専門店それもコーヒーを量り売りしているお店で買うことですね。
鮮度の見分け方は、ペーパードリップだったら、お湯を掛けた時に粉が膨らむこと。粉は水分が抜けているのでお湯をかければ粉自体が水分を吸って膨らむのです。まずはこれが見分け方のひとつです。
逆にお湯を掛けても膨らまないということは、既に水分を吸ってしまっている、イコール鮮度が落ちているということになります。
野菜と同じですね。
vinice
なるほど。ということは、野菜と同じように早いうちに使い切るってことですか?
堀口氏
そうです。豆の状態なら2週間、挽いて粉の状態なら即・冷凍です。フリーザー以外の常温では、粉は長くもちません。3日ほどで劣化をはじめます。豆も2週間以上なら冷凍した方がいいですね。フリーザーに入れても、水分がないので粉は凍るわけではなく、出してもすぐそのまま使えます。
それほどに、まずはフレッシュ・新鮮かどうかが重要です。
次に、豆の種類ですが、いいか悪いかのクオリティは本当にピンきりなので、セレクションすることは難しいことです。
まず国、地域、農園、品種などのデータがなるべく揃っているものは、比較的良い可能性が高い。要は、表示できないということは並品でしかないということです。値段が高いからといって良いとも限らない。
新鮮か、そして情報が揃っているか、その他、豆の外観も見ます。豆が揃っているか、きれいかどうか。最後は、信頼できる専門店で購入することですね。
vinice : なるほど
堀口氏
次にくるのが、自分の好み、味になりますね。
味も、品種とローストと2つの角度がありますが、まずはローストから好みを見つけるのが良いでしょう。
vinice
お店の方との会話から広げていくのですね。
堀口氏
そうです。とっかかりはそんな感じでスタートするといいですね。
ミルを持っているなら、既に日常的に飲んでいる方でしょうから自分で挽かれるでしょうし、持っていないならお店で挽いてもらえばいいのですから。
vinice
なるほど。まずは試してみたくなりますね!
次に、コーヒーにはホット・アイス・カフェオレなど飲み方も色々ありますが、飲み方の違いによるおすすめはありますか?
堀口氏
ホットコーヒーの場合は、中炒りから深炒りまで好みのもので良いと思いますが、アイスコーヒーやカフェオレなどは、深入りがおすすめです。ローストが浅いとカフェオレなどでは、ミルクに負けてしまいます。また、アイスコーヒーの場合もローストが浅いと酸味が強くて清涼感がなく、あまり美味しくありません。
水出しコーヒーもありますが、アイスコーヒーは、深炒りコーヒーをホットで濃い目に入れて氷に直接入れるのは一番美味しいですよ。
vinice
(お話を伺っている間に、おすすめのコーヒーを入れていただきました。)
このコーヒーは、どこの地域のどんなローストなのですか?
堀口氏
これは、タンザニアの豆で、シティローストですね。そして、やや深めですね。
vinice
堀口さんは、飲めばすぐわかるのですか?
堀口氏
飲めばだいたいのことはわかりますよ。
でも問題は、ローストというのはお店によって違うこと。ローストの基準はないんです。
ローストの度合いはそれぞれのお店の基準でやっているので、堀口珈琲のシティローストが他の店ではフレンチローストに近いこともあります。ローストのテクニックによっても味は全然違うので、最終的には自分で飲んでみて美味しいと感じるかどうか、だけになります。
とても重要なことは、変な味がしないこと。なんだかイレギュラーな味がしない豆か大切だけれども、それは結構難しい。ある程度の体験が必要になってくるのです。
vinice
なるほど。
私はブラックコーヒーが苦手なのですが・・・・。
堀口氏
コーヒーは必ずブラックで飲まなければならない、なんてことはないですよ。
イタリア人は必ず砂糖を入れる。エスプレッソにもたっぷりの砂糖を入れていますから。
vinice
ネットで、フランスとイタリアのエスプレッソの違い、というのを見たのですが、エスプレッソに種類はあるのですか?
堀口氏
エスプレッソとは、エスプレッソマシンを通して入れたコーヒーのことを言うので、特に違いはありません。エスプレッソとは、早いという意味です。
基本は、30秒で、7gの粉を、9気圧で、30cc抽出する。この基準は世界中どこにいっても変わりません。それから多少ずれていたとしても基本は同じです。
vinice
そうなんですか!?それは全く知りませんでした・・・。
堀口氏
そこから先は、文化の違いです。
イタリアは、エスプレッソのままで飲むけれど、日本やアメリカではそんなに濃いままで飲む人は少ないから、ミルクを入れます。
食文化の違いもあって、欧米などは食事中にあまり糖分を取らないので、食後にたっぷり砂糖を入れて飲むし、甘いデザートも食べる習慣ができた。日本食は、砂糖やみりんを使う料理が多いので、あまりデザートを食べる習慣がなかったのでしょう。
日本人は、飲み物もお煎茶、紅茶、コーヒー、ハーブティー、なんでも飲みます。その中でもコーヒーは、アルコールを含まない飲み物の中で一番習慣性が強い飲み物になります。
リピート率が高く、そして世界中で一番飲まれている飲み物なのです。
vinice
なるほど。
さて、次回はコーヒー豆のおすすめ産地や、海外の農園についてお話を伺います。
生産地によるコーヒーの愉しみ方
堀口氏
前回の最後で、コーヒーはリピート率が高く、そして世界中で一番飲まれている飲み物とお話しましたが、それと並行して1億人以上の人がコーヒー産業に関わっていると言われています。それは石油の次に多いそうです。後進国と言われている国での生産も多いため、コーヒー産業が衰退してしまうとそういった国の生産活動に影響してきますよね。
その上、難しい話ですがコーヒーは作り方や作り主の考え方によって、環境にも良いのです。コーヒーの木を日影で育てる為、高木を周囲に植えるなど伝統的な方法もあるのです。
vinice
なるほど。コーヒーの原産国はよく聞くことも多いですが、実際にはどんな国があるのですか?
堀口氏
エチオピアやケニヤ、南米、インドネシアのスマトラ島などですね。
今一番美味しいのは、エチオピアやケニヤなどアフリカで、特徴があるコーヒーです。
コーヒーにも旬があります。新鮮さを「野菜と同じ」といいましたが、魚と同じように旬もあるのです。収穫され日本に入ってきたばかりのものが一番美味しいです。フレッシュで味を含んでいます。日本で長い間置かれ時間が経つとやはり鮮度が落ちてきます。前回の新鮮さは炒り豆の鮮度の話でしたが、今回は生豆の鮮度のことです。
vinice
なるほど。コーヒー豆は生で輸入するのですね?
堀口氏
そうです。グリーンビーンズと言われる生豆を輸入して、我々が炒り、それをお客様に販売しています。生豆は1年間保管ができるのです。それでも堀口珈琲では冷蔵しています。
コーヒー豆を農産物としてみた場合も、チェックしなければならない項目はいっぱいあります。堀口珈琲は特殊だとは思いますが、冷蔵用のコンテナを保有しているのですよ。
季節によって入ってくる豆は違い、その度にラインナップが変わっていきます。今の時期は(お話を伺ったのは4月上旬でした)タンザニア、5月から6月にかけてはケニヤ、中米の豆も6月に入ってきます。ブラジルの豆は去年の10月くらいに入ってきましたよ。その都度旬な豆を炒っていくのです。
vinice
そうですか!ということは、コーヒーショップに行くとおすすめコーヒーの味は季節によって変わっているってことですか?
堀口氏
そうそう、都度変わっていますよ!毎回違うかもしれないね。
堀口珈琲のお客様は、通な方が多くこの店の売り方に慣れている方が多いので、みなさん「今、旬な豆はなに?」「何か入りましたか?」と聞いてきます。お魚屋さんと同じ感覚でコーヒー豆を買いに来るのです。どれが今美味しいのか、それを聞いていくと味も
わかってきて知識も付いてきます。そこが堀口珈琲が他のお店と違うところだと自負していますよ。
vinice
なるほど。本当に通な方が多いのですね。そうやって買っていると本当にコーヒーを色々な面から楽しめそうですね!
喫茶店とカフェ・堀口珈琲のこだわり
vinice
このお店は女性が多いと聞いていましたが、朝から結構いらっしゃいますね?
(お話を伺ったのは、朝の9時半からでした!)
堀口氏
そうですね。9時の開店前からお店の前で待っていらっしゃる方もいますよ。
最近は、雑誌への掲載などでお店が混む事も多くて、常連さんなどはそれを避けて午前中の静かな時間帯にいらっしゃいます・・・。
この店のようなフルサービスの喫茶店というのは、そのエリアの常連さんで成り立っているものなのです。毎日来る人、1週間に1回来る人、2週間に1回来る人、毎月1回来る人、年に4回なんて方もいます。それでも、初めての方というのは1日に1組か2組か、ですよ。駅前だとフリーでいらっしゃる方は2~3割に増えるかもしれませんけれど。
vinice
そんなに少ないんですね!?
堀口氏
そう、ほとんどいないと言ってもいいぐらいですね。
記事に載ったりすれば新しいお客様も増えるけれど、メリット・デメリットもあります。こういった喫茶店はベースがあって成り立っていて、一見さんはあまり必要ないことが多いのです。逆に言えば常連さんで成り立たないようだと厳しいとも言えます。1回来ただけではお店の良さを全て理解していただくのは難しいと考えているし、長く来ている方だからこその会話があるものなのです。
私たちスタッフも「○○さん、少し疲れているんじゃない?」とか、「マスター、少し痩せた?」なんて言われることも!
お客様とお店は、持ちつ持たれつの関係だと思っています。お客様も日常の中の習慣化された喫茶店でのひと時はなくなっては困る、お店側としてもそういうお客様のためにコーヒーを入れます。フィフティフィフティ、そういう関係作りが喫茶店ならではと思うのです。
世田谷の中でも、そして小田急線沿いでも、この辺りの方は特にこだわりが強い方が多いですよ!
vinice
なるほど。面白いし、とっても納得できる考え方ですね!
カフェブームが始まって随分経ちますが、喫茶店とカフェの違いをどうお考えですか?
堀口氏
喫茶店はコーヒーを飲ませるお店。カフェはお食事がメインのお店と考えています。
喫茶店は飲み物の売り上げが50%以上、カフェはその逆です。お酒を出すかどうか、とか、営業時間が早いか遅いか、など様々なラインで区別しようという考えはありますが、私はこの独自の考え方が一番あっていると思っています。
大阪や名古屋などは喫茶店が残っていますが、他は少なくなってきましたね・・・。
喫茶店の全盛期はもう30年以上前でしょう!若い世代には喫茶店の体験もないのかもしれませんね。
vinice
確かに最近は、フルサービスではないカフェというのがとても多いですよね!喫茶店との違いがよくわかりますね。
また、この堀口珈琲は様々な食器が並んでいて大変楽しいですね!
堀口氏
堀口珈琲は、1990年に今の世田谷店の2階にお店を開店して、1996年に1階におりてきました。1990年のオープン当初からのたくさんあるコンセプトのうちのひとつが、「同じものがひとつとしてない店」だったんです。
カップ、スプーン、グラス、椅子、どれをとっても全部違います。テーブルも違うんですよ!テーブルは塗装の色は揃えていても、木の材質が違うのです。
1990年のお店は、この10年ほどのカフェブームの火付け役だったと思っています。
カップも全て有田焼で、絵付けを注文して焼いてもらっています。白い陶器の
カップを使っているカフェは多いと思いますが、その違いが喫茶店のこだわりだと考えています。
須賀氏
常連のお客様は、自分のお気に入りの席があって必ずいつも同じ席に座る方もいます。椅子の座り心地、窓からの光の入り方、柱の脇など囲まれ感・・・。私自身も好きな席があるんですよ!
vinice
それはいいですね!私も最初にこの店に入ったとき、「お好きな席に!」と言われて、とても迷いました!でもそれが好きな席に繋がっていきますね。
また、毎回違うカップで出てくるのも楽しみですね!
次回は、コーヒー農園でのお話や、堀口さんが開催している開業セミナーのお話を掲載します。
コーヒー農園との付き合い方
vinice
コーヒーを仕入れるにあたって農園にも行かれるのですか?
行った時にどんなところを見られますか?
堀口氏
そうですね。まずひとつは、農園主の考え方ですね。
農園だったり、小農家の豆を扱っている農協のような存在だったりしますが、価値観が一緒かどうかを見ます。良いものを作ろうというスタンスや考え方ですね。いいものを作ろうとみんな思っているだろうけれど、もっと根本的なベースというものがあります。
在来形の品種を使っていたり、シェードツリーを植えていたり、きちんと伝統を守っているかというのを確認します。
もっとも伝統を知っている人もいるし、知らない人もいます。知っていても手を抜いてしまう人もいるからね。
その上で、その土地の土壌、気候、農園の環境や整備状況などを見ます。
たとえば、今入れているこのコーヒーのタンザニアの農園は、タンザニアの中でここが一番いいとすぐ分かります。
農園主もそこに住んでいますし・・・。
vinice
!? 住んでいないこともあるのですか?
堀口氏
そうですね。タンザニアでは農園主はタンザニアに住んでいないのがほとんどです。
みんなイギリスなどに住んでいるけれど、ここの農園主はそこが好きで住み着いています。だからタンザニアの農園主としてはとてもいいのです。もちろん世界中の多くの国では農園主は農園に住んでいるけれど、タンザニアは違うのです。
そうやって世界中の農園から良さそうなところを探してきます。
そして、その農園から何年か続けて買い続けると信頼関係もできてきます。私も毎年買うし、彼らも買ってくれると分かっているから安心して作ることができる。
あとは味をどの程度チェックできるかにかかっています。
vinice
もうそれは、チェックする側の能力にかかっているのですよね?
堀口氏
そう、スキルですね。生の豆をもらって、サンプルローストをして、チェックをします。
vinice
そういった農園はどれくらいの規模の所なのですか?
堀口氏
たとえばこのタンザニアの農園は、コンテナ4つ分、1バック60kgを1000バックほどです。
その中でも一番いいグレードのものを私たちが買っています。
人でいうと、最盛期には10~50人ぐらいの人がピッキングと呼ばれる豆を摘む作業をしていますよ。
手摘みですからね。ピーク時は多くの方が働いていますよ。
vinice
なるほど。今どれくらいの農園と取引をされているのですか?
堀口氏
喫茶店開業セミナー
vinice
そうでしたね!この堀口珈琲では、開業セミナーも行っていますよね。そのお話も聞かせてください。どんな方々が来ているのですか?
堀口氏
そうですね。基本的に若い人が多いです。
20年前だったりすると50代の方もいましたけれど、今は団塊の世代も少なくなりましたね。あくまでも主流は20代、30代、そして40代までですね。
朝日カルチャースクールでもセミナーを持っていますが、定員25名ほとんどが若い人で、男女比率が半々です。ご夫婦で参加という方もいますよ。
vinice
そうですか!
セミナーの内容はホームページでも拝見させていただきましたが、難しそうですね?
とてもいきなりの素人が参加しても、とてもついていけそうにないなぁと感じました。
堀口氏
そうですね。確かに難しいですね。
でも参加している方もコーヒーの基礎知識はあると思っていても、意外とないものです。
だから、実はコーヒーの基礎の基礎から教えるセミナーをやろうと企画していますよ。
でも基本的には、ティスティングを楽しめればいいと思っています。セミナー費を払って、その価値があったと思ってもらえればいいと思いますよ。抽出のセミナーも同じです。
vinice
開業を目的にしてなくてもですか?
堀口氏
そうです。最初は家で飲みたいからという理由の方もいます。
だんだんステップアップして開業を目指す人もいますし、趣味として奥深くやる人もいます。
教えるプログラムもここ数年でようやく確立してきました。まず、コーヒーについて教えられる人も少ないですから。
たとえばこの1杯のコーヒーからも読み取れることはいっぱいあります。
どんな品種なのか、どういうローストをしているのか、抽出の方法や入れ方は?どこの国の豆でどうやって作られたのか、など・・・。
でもそれを読み取るためには、コーヒーの知識がすべてないと分からないですよね?
ワインも栽培方法、味のテイスティング、評価の仕方などいろいろ読み取りますが、コーヒーも同じなのです。
でも、コーヒーについて教えるとい分野自体があまり無かったので、私自身長い間それを教えてきて、ようやく形ができてきたところです。まだ確立してはいませんが。
コーヒーのテイスティングや評価というのはあまり確立されていないから、おいしいコーヒーの評価も曖昧なんですよ。皆さん堀口珈琲は美味しいと言っていただきますが、比べる手法もなかったし、もっと美味しいコーヒーは世界でいっぱいあると思うのです。
vinice
そんな中、開業セミナーから実際に開業される方のお手伝いもされるそうですね?
どんな方が印象に残っていますか?
堀口氏
手伝いをする度合いも人によって大きく違いますね。コンサルティング費を取るわけでもなく、最終的には堀口珈琲から豆を買ってもらうことになります。
相談に乗るだけの場合もあるし、カフェの開業などでは美味しい入れ方を教えたりする程度の場合もあります。反対にビーンズショップを開業する場合は深く関わることが多いですね。ビーンズショップではコーヒー豆の炒り方などから他にも奥深い知識を必要とされますから。
あとは、山奥など奥地でやっている方も印象深いですね。畑のど真ん中とか、自分の家でとか。多少不便でも特徴があればお客様はわざわざそこに来てコーヒーを飲んでくれます。お店としてインパクトがあるかどうか、なんでしょうね。
でも、ビーンズショップだと豆を売る店なわけだから、堀口珈琲のライバルをいっぱい作るようなものですよね(笑)!
vinice
STEP4では、マスターからバトンタッチをして、須賀さんにお話を伺いました。
須賀さんは、堀口珈琲で働いて長いのですか?
須賀氏
そうですね。働き始めて6年になります。セミナーから数えると9年になりますね。
vinice
須賀さんも開業セミナーに通われていたのですね!
須賀氏
堀口珈琲に来る前にも喫茶店でアルバイトをしていて、コーヒー業界は面白いなと思っていた頃に、友人から「コーヒーが好きなら行ってみたら?」と紹介されたのがきっかけなのです。近所ということもあり通い始めたら、マスターの毒舌ぶりにはまりましてね(笑)
そのまま「ここで働かない?」と誘われて就職したんです!
vinice
そうなんですね!このお店のスタッフの皆さんは、全員社員なのですか?
須賀氏
そうです。やはりアルバイトの人だとコーヒー豆が売れないんですよ。
マスターの話にもありましたが、常連のお客様に見合うだけの知識がスタッフ側にも必要とされるのです。 マスターがこのコーヒー業界を切り開かれてからは、本当にコアなところでマニアックなほどコーヒーに詳しい方がいらっしゃるのです。堀口珈琲が有名になるほど、そういう方が遠方からもいらっしゃいます。 そして、「今一番おいしいのはどれ?」と聞かれるのです・・・。 その質問にスタッフが答えられないのは、「無し」なのです。そのあたりが、他の喫茶店と違いますね。そして、その上できちんとしたフルサービスもご提供しているので。そのクオリティを保つ必要があるのです。
vinice
私も以前、このお店を個人的に訪れたことがあるのですが、独特な接客ですよね。「いらっしゃいませ、何になさいますか?」っていう感じではない・・・(笑) 「好きなへ席どうぞ。」コーヒーで悩んでいたら、「じゃあ、また後できます」って行ってしまい、しばらくしたら「決まりました?」って聞かれました。不思議だけど悪い感じじゃなく、お客さんとスタッフの方が近いなぁと。
須賀氏
そうですね。そうかもしれませんね。接客は難しいから、好きでないと続けられませんが、常連のお客様も多いので会話もものすごく多いんですよ。お客様の好みも覚えるようにしています。
vinice : え~!!
須賀氏
常連の方は、お店に入ってくるとまず「いつもの!」って言うのです・・・。たまに「いつものって何?」なんてこともありますが(笑)、スタッフみんなで覚えるようにしています。
vinice
須賀さんも農園に行かれたことはあるのですか?
須賀氏
ええ、ハワイ島のコナコーヒーの農園に行ったことがあります。コーヒー業界にも商社があったり、コンテナの会社があったりして、そういった会社の企画でみんなで訪れることがありました。自分で摘んで、洗って、炒ってという経験もしましたよ。
vinice
やっぱりそういう農園のコーヒーは美味しいですか?
須賀氏
ええ、ぜんぜん違います。 マスターは美味しいコーヒーを探してくるのが、やはりピカイチですね! 例えば少し大げさですが、タンザニアの全ての農園の豆を集めて、その全てを飲み比べる、といったことがマスターにはできます。すべての豆が欲しいと思えば、集まってくるような立場にいるということです。そうやって、世界中の豆の中から美味しい豆を集められる人ですね。
vinice
それほどコーヒー業界で存在感のある方なんですね!
須賀さんも自分のお店の豆の味が、他で出されて分かったそうですね?
須賀氏
分かりましたね!知らずに入った喫茶店でコーヒーを飲んだときに「あれ?うちのコーヒーと同じ味がする!」って思ったんです。そしたら堀口珈琲から豆を買っているお店だったんですよ(笑)。
vinice
須賀さんもいつかは、開業を?
須賀氏
そう思ってセミナーを受けていたんですが、知れば知るほどまだまだ奥深いので、当分マスターの元で働こうと思っています!
vinice
楽しいお話をありがとうございました!
堀口珈琲 おいしいコーヒーの入れ方・選び方
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